代替食品をおいしくする努力を讃えたい

大塚食品が「ゼロミート」という大豆を使った肉不使用のハンバーグを発表したらしい。世界の人口増加による食糧不足に備えた、肉の代替食品だという。本物の肉のハンバーグの味と食感を感じられるように拘って開発されているらしい。こういった、食料品を開発する時の日本企業の姿勢というのは面白い。代替で栄養が取れれば良いのであれば、大豆から抽出したタンパク質をそのまま売り出せば事足りるはず。アメリカのソイレントなどはその良い例で、あれは生きるために必要な栄養分が全て取れるが、味の事は大して考えられてなさそうだ。しかし、日本でそういった代替食品を開発する場合は、まずおいしさにこだわったり、モデルとなる食べ物の味を再現したものを作ろうとしているように見える。ただ代替を求めているのであれば、全く必要のない努力だし、とても非効率だ。

災害時のための備蓄食品に関してもそうだ。非常時を想定するなら、味や食感のこだわりより、すぐ食べて栄養がとれることの方が重要なはずだ。しかし、災害時以外でも楽しめるものを開発しようと努力している。合理性を考えたら、とても不思議な努力をしているように見える。

しかし私はそんな日本企業の姿勢が好きだし、応援したい。こういう、どんなところにも楽しみやエンターテイメント性を入れてくるところが、実は日本の得意なことなのではないかと最近思っている。非常時でもおいしいものが食べたいとか、楽しみを見出したいという発想自体がナイスだと思う。加工食品業界に限らず、いろいろな業界で、ぜひ完全な合理性に走らず、変な努力をし続けてほしい。